旅費交通費の仕訳【簿記3級】勘定科目と取引例の解説~出張から通勤手当まで

簿記3級/旅費交通費の仕訳/出張から通勤手当まで

 当ブログにお越しいただきありがとうございます。会計的お仕事女子のあんがお送りする簿記3級シリーズ記事です。今回は簿記3級でよく出題される、旅費交通費の仕訳について練習問題を解きながら解説していきます。

  • 旅費交通費とは何?どんな勘定科目なの?
  • 出張のホテル代や航空料金・鉄道料金を支払ったときの仕訳は?
  • 出張以外で旅費交通費で仕訳をする取引ってあるの?
  • 旅費交通費に関する仕訳の練習問題や解説はないのかな?

 などの疑問やご要望にお応えしていきます。旅費交通費の仕訳をマスターして、簿記3級合格への階段をまた一つ確実に登っていきましょう!

    それでは、よろしくお願いします。

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旅費交通費とは何?どんな勘定科目?

  • 旅費交通費とは、従業員の出張などの宿泊代や鉄道料金、航空料金、などの支出のこと。
  • 旅費交通費は費用の勘定科目。
  • 出張の時に支給する日当も旅費交通費勘定で記帳。
  • 給料の支払い時の通勤手当なども旅費交通費勘定で仕訳。

 企業は経営活動で従業員を取引先へ商談などのため出張をさせることがあります。その出張で使用した宿泊代や交通費を経費として計上するときに用いるのが旅費交通費(費用)の勘定科目です。また、旅費規程などに基づき支給される日当も旅費交通費勘定で記帳します。

 また、給料の支払いの時に、従業員に通勤手当などを払いますが、この通勤手当の分については給料勘定(費用)を用いずに旅費交通費として計上します。通勤手当が旅費交通費になるというのは、忘れやすいので気を付けてください。

 

旅費交通費の仕訳~現金払いの取引例と解説

 では、旅費交通費の仕訳について、取引例を解説しながら見ていきましょう。出張の際の旅費交通費の仕訳は大きく分けて次の3つになります。

  • 短期の出張などで、旅費交通費を従業員が私費で建て替えていたものを清算した場合。
  • 出張前に概算で旅費交通費を従業員に前渡しした場合。
  • 従業員が出張から戻ってきたときに実際にかかった旅費交通費を清算する場合。

 出張に行くときには会社から「領収書を取っておくように」とよく言われますよね。この領収書をもとにして、実際にかかった旅費交通費を清算するというわけです。

 では上記の3つの場合に分けて実際の取引例を解説しながら旅費交通費の仕訳を見ていきましょう。

従業員が立て替えていた旅費交通費を現金で支払ったときの取引例と仕訳

取引の例:従業員が立替えていた名古屋までの新幹線代¥11,000、在来線代¥2,400、ホテル代¥30,000及び日当¥10,000を現金で従業員に支払った。

仕訳の手順①:現金で支払っていますので、現金(資産)の減少です。資産の減少ですから、現金(資産)を貸方に仕訳します。このとき、新幹線代¥11,000、在来線代¥2,400、ホテル代¥30,000及び日当¥10,000は合計しましょう。

(     )       (現   金)63,400

仕訳の手順②:新幹線代¥11,000、在来線代¥2,400、ホテル代¥30,000及び日当¥10,000はすべて旅費交通費(費用)です。費用の発生ですから、旅費交通費(費用)を借方に仕訳します。

(旅費交通費)63,400 (現   金)63,400

 

 仕訳は自分が分かりやすいほうから切るのがポイントです。最初に現金(資産)の減少で貸方に仕訳するより、先に旅費交通費(費用)の発生で借方に仕訳する方が分かりやすいときは、旅費交通費(費用)の方から仕訳しましょう。

 どっちが借方でどっちが貸方か確認したいかたはこちらの記事で分かりやすく解説していますので、どうぞご覧ください。

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旅費交通費を前もって従業員に概算払いしたときの取引例と仕訳

 長期間や遠距離の出張の場合、旅費にかかる費用は金額も大きくなります。金額が大きい場合は、従業員に立替払いさせと従業員への金銭的負担が大きくなりますので、前もって出張旅費を概算で支払っておくことがあります。

 それでは、旅費交通費を従業員に前もって概算払いしたときの取引例で仕訳を見てみましょう。

取引の例:従業員が1週間の海外出張に出向くのにあたり、出張旅費の概算額¥150,000円を前もって現金で支払った。

仕訳の手順①:現金で支払っていますので、現金(資産)の減少です。資産の減少ですから、現金(資産)を貸方に仕訳します。

(     )    (現   金)150,000

仕訳の手順②:前もって概算払いした出張旅費は、概算払いですから実際に使用した金額が確定していません。そこで旅費交通費で仕訳せず、仮払金(資産)の増加として仕訳をします。仮払金は後ほど返してもらえるお金ですから資産の勘定科目です。資産の増加ですから、仮払金(資産)を借方に仕訳します。

(仮 払 金)150,000(現   金)150,000

 

 大事なので何度も言いますが、仕訳は自分が分かりやすいほうから切るのがポイントです。最初に現金(資産)の減少で貸方に仕訳するより、先に仮払金(資産)の増加で借方に仕訳する方が分かりやすいときは、仮払金(資産)の方から仕訳してください。

 

概算払いした旅費交通費を清算したときの取引例と仕訳

 従業員に前もって概算払いした旅費交通費は、出張から戻ってきたときなどに正式な金額が確定します。確定した旅費交通費は清算し、不足していれば不足分を従業員に支払いますし、余っていれば従業員から返してもらいます。

 このときの処理は、確定した金額を仮払金(資産)から旅費交通費(費用)へ振りかえる仕訳をすることになります。

 では、こちらも実際の取引の例を解説しながら見ていきましょう。

取引の例:従業員が海外出張からの帰国後に出張旅費の精算を行った。出張旅費の実費は¥134,000であった。概算払いした出張旅費は¥150,000であったので、差額を従業員から現金で返還を受けた。なお、概算払いした出張旅費は仮払金で記帳している。

仕訳の手順①:概算払いの出張旅費が確定し、従業員から現金(資産)で返金されていますので、資産の増加として現金(資産)を借方に仕訳します。仕訳する金額は返還された分だけですから¥150,000-¥134,000=¥16,000です。

(現   金) 16,000(     )

仕訳の手順②:確定した出張旅費は¥134,000ですから、旅費交通費(費用)の発生です。費用の発生ですから旅費交通費(費用)を借方に仕訳します。

(現   金) 16,000(     )

(旅費交通費)134,000

仕訳の手順③:概算払いしていた出張旅費は以前、仮払金(資産)で仕訳をしていました。出張旅費が確定し、従業員からの返金も受けましたので仮払金(資産)を減少させて旅費交通費に振り替える仕訳をします。資産の減少ですから仮払金(資産)を貸方に仕訳します。

(現   金) 16,000(仮 払 金)150,000

(旅費交通費)134,000

 

 資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をどうぞ。仕訳の基本なのでとっても大事ですよ。

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旅費交通費の仕訳~通勤手当を支給したときの取引例と解説

 旅費交通費を仕訳するときの取引の代表例として、出張旅費のほかに給与時に通勤手当の支給をする場合があります。

 簿記検定試験ではそれほど出題頻度は高くありませんが、実務では毎月行う仕訳となりますので、取引例と解説を見ていきましょう。 

 

従業員に給与を支給したときの通勤手当の取引例と仕訳

取引の例:従業員へ給与¥250,000と通勤手当¥20,000を普通預金口座から振り込んで支給した。

仕訳の手順①:給料(費用)の発生なので、給料¥250,000を借方に仕訳します。

(給   料)250,000(     )

仕訳の手順②:通勤手当¥20,000は旅費交通費(費用)として仕訳します。費用の発生ですから、旅費交通費(費用)を借方に仕訳します。

(給   料)250,000(     )

(旅費交通費)  20,000

仕訳の手順③:次に、給料¥250,000と通勤手当¥20,000の合計額を普通預金口座からの振り込みで支給していますので、普通預金(資産)の減少です。資産の減少ですから、普通預金(資産)を貸方に仕訳します。もちろん金額は給料¥250,000と通勤手当(旅費交通費)¥20,000の合計額です。

(給   料)250,000(普通 預金)270,000

(旅費交通費)  20,000

 今回は旅費交通費のみに焦点を当てたので、源泉所得税や年金、健康保険などの法定福利費については解説を省略してます。

 源泉所得税や法定福利費の仕訳の仕方など、給料の支払いに関する仕訳について詳しく解説した記事もありますのでどうぞご覧ください。

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旅費交通費の仕訳や勘定科目のまとめ

  • 旅費交通費とは、従業員の出張などの宿泊代や鉄道料金、航空料金、などの支出のこと。
  • 旅費交通費は費用の勘定科目。
  • 出張の時に支給する日当も旅費交通費勘定で記帳。
  • 出張前に概算で旅費交通費を従業員に前渡し、従業員が出張から戻ってきたときに実際にかかった旅費交通費を仕訳する。
  • 給料の支払い時の通勤手当なども旅費交通費勘定で仕訳。

 さて、今回は簿記でよく出題される旅費交通費の取引と仕訳についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 ところで、簿記資格を生かして会計や経理の仕事に正社員として就職するには、簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをしましょう。

また確実に簿記3級を取得したい方も、通信講座を利用をおすすめします。

 私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。

 簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 それでは、簿記検定の試験勉強頑張ってくださいね!無事に簿記3級の試験を突破することを祈っております。そして、ぜひ簿記2級まで取得してキャリアアップを果たして下さい。

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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