有形固定資産の減価償却の仕訳【簿記3級】勘定科目と取引例の解説~決算整理

有形固定資産の減価償却の仕訳/簿記3級/決算整理仕訳

 当ブログにお越しいただきありがとうございます。会計的お仕事女子のあんがお送りする簿記3級シリーズ記事です。今回は簿記3級でよく出題される、有形固定資産の減価償却の仕訳について練習問題を解きながら解説していきます。

  • 有形固定資産とは何?
  • 有形固定資産の減価償却とはどんなことをするの?
  • 減価償却費とはどんな勘定科目?
  • 有形固定資産の減価償却の仕訳をするのはどんな取引のとき?
  • 有形固定資産の減価償却に関する仕訳の練習問題や解説はないのかな?

 などの疑問やご要望にお応えしていきます。有形固定資産の減価償却の仕訳をマスターして、簿記3級合格へとまた一歩進んでいきましょう!

    それでは、よろしくお願いします。

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有形固定資産とは~どんな勘定科目があるの?

 まずは有形固定資産の減価償却の基礎知識として、有形固定資産について見ていきましょう。

  • 有形固定資産とは、企業が経営活動のために長期間使用できる資産
  • 有形固定資産という言葉そのものは勘定科目ではない。
  • 土地、建物、車両運搬具、備品などが有形固定資産の勘定科目

 企業は経営活動をするために、建物、車両運搬具、備品、土地などの資産を長期間使用します。これらの建物、車両運搬具などの資産のことを有形固定資産といいます。

 ただし、簿記上で有形固定資産として扱われるのは購入したときのみです。リースや賃貸契約など借りている場合は、使用料などを支払ったときに費用として仕訳しますので資産とはなりません。気を付けてください。

 有形固定資産である建物や土地、車両運搬具(車)、備品を購入したときは建物、土地、車両運搬具、備品などの資産の勘定科目を使って仕訳をすることになります。有形固定資産という言葉そのものは勘定科目ではありませんのでご注意を!

 有形固定資産とその購入については、詳しく解説した記事がありますので、よかったらご覧ください。

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減価償却とは

  • 建物や備品、車両運搬具の有形固定資産の価値が使用や時間の経過により下がっていくこと。
  • 有形固定資産の価値の減少を各期の費用として配分することを減価償却という。

 建物、備品、車両運搬具などの土地を除く有形固定資産は、使用または時間の経過により、その価値が下がっていきます。新車より中古車の方が安いのがそのいい例ですね。この価値の減少を「減価」といいます。

 このような価値の減少を考慮して、建物、備品、車両運搬具などの使用可能期間にわたり、その取得原価を各期の費用として配分する手続きを「減価償却」といいます。

 家計では車を買ったそのときにしか費用は発生しませんが、簿記ではその価値の減少を当期の費用として計上するというわけです。

 

減価償却費の計算方法

  • 日商簿記3級の減価償却は「定額法」

 減価償却費の計算方法はいくつかありますが、日商簿記3級では「定額法」という減価償却の計算方法が試験範囲となっています。

 定額法について説明をする前に、減価償却費を計算するにあたって必要な3つの要素について先に説明をしておきます。

減価償却の3要素について

 減価償却費を計算するには、取得原価、耐用年数、残存価格の3つの要素が必要になります。

  • 取得原価:固定資産の購入代金に付随費用を加算した金額
  • 耐用年数:固定資産の利用可能年数
  • 残存価格:耐用年数の到来時における固定資産の処分予定価格

 取得原価の注意点は購入代金だけでなく、購入にかかった費用も含めるという点です。例えば車を購入した場合、その車両運搬具の取得原価には車両登録に必要な車検の代行料など(重量税などの税金部分は除く)も含まれるということです。

 耐用年数はその固定資産が使用できる年数のことになります。試験問題では資産ごとに「耐用年数○年」と指示されます。

 残存価格とは簡単にいうと耐用年数まで使い切ったときに残っている固定資産の価値のことです。車は耐用年数まで使ってもある程度の価格で売れますよね。使用可能とされる年数使った場合に残っている固定資産の価値が残存価格となります。

 

定額法による減価償却の計算

  • 定額法とは固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法

 つまり、定額法とは毎年一定の金額を減価償却費として計上するということです。毎年一定の価格は耐用年数の均等割りで求めます。式として表すと次のようになります。

  • 1年分の減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数

 ポイントは残存価格の部分は減価償却費に入らないというところです。取得原価から残存価格を差引いてから、耐用年数で均等割りをします。残存価格を差引くのを忘れないように注意してください。

有形固定資産を会計期間の途中で購入している場合

 なお、有形固定資産を会計期間の途中で購入ている場合には、1年分の減価償却費を月割計算し、その年の減価償却費を求めます。

  • 1年分の減価償却費×期中の事業共用日~期末日(月数)÷12か月

 上記の式で一気に求めてもいいですし、1年分の減価償却費を計算してから12か月で割って1か月あたりの減価償却費を求め、その後使用月数分に直すという求め方もあります。1か月あたりの減価償却費が¥2,000で使用月数が3か月なら、その年の減価償却費は¥6,000という感じです。

 簿記では、「期中の事業共用日」と難しい言葉が使われますが、簡単にいうとその固定資産を使い始めた日ということです。簿記独特の言い回しには慣れるようにしてくださいね。

 

減価償却費計上の仕訳~取引例の解説と仕訳練習問題

  • 日商簿記3級の減価償却の記帳方法は間接法
  • 間接法とは、当期の減価償却費を減価償却費勘定(費用)の借方に仕訳
  • 減価償却費(費用)の相手勘定科目は減価償却累計額(資産のマイナス)

 減価償却費の記帳方法には、直接法と間接法の2種類がありますが、日商簿記3級では間接法が試験範囲になっています。

 直接法の場合は減価償却費の相手勘定科目は、その有形固定資産となり減価償却費を直接有形固定資産からマイナスしますが、間接法では減価償却費相当額を減価償却累計額に貯めていくイメージになります。

 それでは、実際の取引例をもとに解説をしていきましょう。

取引の例(決算):当期首に¥20,000で取得した車両運搬具について、減価償却を行う。(決算年1回、決算日3月31日)減価償却方法は定額法、耐用年数は5年、残存価格は取得原価の10%であり、減価償却の記帳方法は間接法による。

仕訳の手順①:減価償却費を計算します。まずは1年分の減価償却費を求めましょう。

  • 1年分の減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数

以上の式に当てはめて

 (¥20,000-¥20,000×10%)÷5年

=(¥20,000-¥2,000)÷5年

=¥18,000÷5年

=¥3,600

 1年分の減価償却費は¥3,600となります。

仕訳の手順②:当期首に購入した車両運搬具の減価償却費(費用)の発生ですので、1年分の減価償却費(費用)を全額計上します。費用の発生ですから、減価償却費(費用)を借方に仕訳します。

(減価償却費) 3,600(     )

仕訳の手順③:記帳方法は間接法を指定されていますので、減価償却費(費用)の相手勘定科目は減価償却累計額(資産のマイナス)です。資産のマイナスの増加ですから、減価償却累計額(資産のマイナス)を貸方に仕訳します。

(減価償却費) 3,600(減価償却累計額)3,600

 

 今回の決算仕訳例は、車両運搬具が期首の購入だったので月割計算しませんでしたが、例えば購入日と使用開始日が10月1日だった場合は、1か月あたりの減価償却費¥3600÷12=¥300を求め、10月1日~決算日3月31日の6か月分の減価償却費を計上することになります。

 購入日と使用開始日が10月1日だった場合の減価償却費計上額は¥300×6か月=¥1,800となります。企業が有形固定資産を購入するのは期中の方が実際には多いですから、月割計算もできるようになっておきましょう。

 

月次決算のときの減価償却費の計上の取引例と仕訳

 通常、企業は1年ごとに決算を行います。これを年次決算といいますが、会社の業績をいち早く把握するために1か月ごとに決算を行う場合もあります。

 1か月ごとに決算を行うことを月次決算といいます。では、月次決算における減価償却費の計上について、実際の取引例と仕訳で解説していきます。

取引の例(決算):次の資料にもとづいて仕訳を行いなさい。なお、当社は月次決算を採用している(年次決算3月31日)

<資料> 

 2月末日に月次決算を行い、備品の減価償却費の計上を行う。備品の年間減価償却費は¥24,000である(記帳方法は間接法)

仕訳の手順①:ありがたいことに1年分の減価償却費は¥24,000としていされていますので、計算の必要がありません。ただし、月次決算なので1か月あたりの減価償却費を計算する必要があります。

 1か月あたりの減価償却費は¥24,000÷12か月=¥2,000となります。

仕訳の手順②:月次決算ですから、1か月あたりの減価償却費を計上します。減価償却費(費用)の発生ですから、減価償却費(費用)を借方に仕訳します。

(減価償却費) 2,000(     )

仕訳の手順③:記帳方法は間接法なので、固定資産を直接減らすことはせずに、減価償却累計額(資産のマイナス)が増加します。資産のマイナスの増加ですから、減価償却累計額(資産のマイナス)を貸方に仕訳します。

(減価償却費) 2,000(減価償却累計額) 2,000

 

 資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をどうぞご覧ください。仕訳の基本なので重要ですよ!

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有形固定資産の減価償却の仕訳や勘定科目のまとめ

  • 有形固定資産とは、企業が経営活動のために長期間使用できる資産
  • 土地、建物、車両運搬具、備品などが有形固定資産の勘定科目
  • 建物や備品、車両運搬具の有形固定資産の価値が使用や時間の経過により下がっていく。
  • 有形固定資産の価値の減少を各期の費用として配分することを減価償却という。
  • 日商簿記3級の減価償却は「定額法」
  • 定額法とは固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法
  • 定額法での1年分の減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数
  • 日商簿記3級の減価償却の記帳方法は間接法
  • 間接法とは、当期の減価償却費を減価償却費勘定(費用)の借方に仕訳し、減価償却費(費用)の相手勘定科目は減価償却累計額(資産のマイナス)を用いる。

 さて、今回は簿記3級でよく出題される有形固定資産の減価償却について、その取引例と決算整理仕訳についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 ところで、簿記資格を生かして会計や経理の仕事に正社員として就職するには、簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをしましょう。

また確実に簿記3級を取得したい方も、通信講座を利用をおすすめします。

 私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。

 簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 それでは、簿記検定の試験勉強頑張ってください!無事に簿記3級の試験を突破されることを祈っております。そして、ぜひ簿記2級まで取得して経理としてのキャリアアップを果たして下さいね。

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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