こんにちは。会計的お仕事女子のあんがお送りする経理と簿記の仕訳解説シリーズ記事です。今回は経理の実務でよく出てきたり、簿記3級でよく出題される仮払金の仕訳について解説していきますね。仮払金の勉強をしていると…
- 仮払金とはなに?
- 仮払金はどんな勘定科目でどんな取引の時に使うの?
- 仮払金の簿記での仕訳の例や練習問題、解説ってないのかな?
などの疑問が出てくるのではないでしょうか。これらの疑問やご要望にお答えしていきますね。仮払金の仕訳をマスターして、簿記3級の合格を確実に自分のもとへ引き寄せましょう!
また、経理事務の方で仮払金の仕訳の例を確認したいという方も是非ご活用ください。
それでは、よろしくお願いいたします。
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仮払金とはどんな勘定科目?
- 仮払金とは、内容や金額が未確定の一時的な現金の支払いのときに用いられる勘定科目。
- 簿記3級では、仮払金勘定は従業員などへ出張費の概算を前もって渡しておくときに用いる勘定科目として主に出題される。
- 仮払金は、従業員が帰ってきたて出張費が確定したら残額を返してもらう。
- 後日残額を返してもらえるので仮払金は資産の勘定科目
- 仮払金は後日残額を返してもらう権利なので債権
企業は社員が出張するときなどには、出張にかかる費用を現金などで概算払いするときがあります。その出張にだいたいいくらぐらいかかるか予想は出来ますが、確定までは出来ないからです。
社員が出張から帰ってくると出張にかかった費用が確定します。概算払いした費用より出張費の確定額が少なければ返してもらいます。後日概算払いした仮払金を返してもらえるので、仮払金は資産の勘定科目です。
ただし、概算払いした出張費より出張費の確定額が多ければ不足分を社員に支払います。
預り金の仕訳~取引例による練習問題と解説
それでは、仮払金の仕訳の処理を見ていきましょう。簿記3級で出題される仮払金の仕訳の処理は大きく次の3つになります。
- 出張前に社員に出張費の概算を仮払いしたとき
- 出張後、出張費が確定し、余った出張費を社員から返してもらったとき
- 出張後、出張費が確定し、足りなかった出張費を社員へ払ったとき。
では、次からはこの3つの取引例と仕訳について、それぞれ解説していきます。
出張前に従業員に出張費の概算を仮払いしたときの取引例と仕訳
現金を支払うときに、出張費の概算払いなど、その内容または金額が未確定であるときは、一時的に仮払金勘定(資産)の借方に仕訳します。
では、実際の取引の例で仕訳を見てみます。
取引の例:社員の出張にあたり、旅費の概算額¥40,000を現金で渡した。
仕訳の手順①:社員に旅費を現金で前払いしていますから、現金(資産)の減少です。資産の減少ですから、現金(資産)を貸方に仕訳します。
( ) (現 金) 40,000
仕訳の手順②:旅費の前払いは仮払金(資産)の増加です。資産の増加ですから、仮払金(資産)を借方に仕訳します。
(仮 払 金) 40,000 (現 金) 40,000
仕訳は自分の分かりやすいほうから切るのが大事なポイントです。現金(資産)の減少で貸方に仕訳するよりも、仮払金(資産)の増加で借方に仕訳をする方が分かりやすい方は、仮払金(資産)の増加から仕訳を切りましょう。
借方と貸方の方向の簡単な覚え方の記事もありますので、良かったらご覧ください。
出張費が確定し、余った出張費を社員から返してもらったときの取引例と仕訳
仮払いの内容が確定した場合には、仮払金勘定(資産)の減少として仮払金(資産)を貸方に仕訳します。費用などの相手になる勘定科目を借方に仕訳するのを忘れないように気を付けてください。
では、こちらも取引の例で仕訳を見てみましょう。
取引の例:社員が出張から帰り、旅費の仮払額¥40,000の清算を行い、残額¥1,000を現金で受け取った。
仕訳の手順①:旅費(仮払金)が確定したので、仮払金(資産)を減少させます。資産の減少ですから、仮払金(資産)を貸方に仕訳します。
( ) (仮 払 金) 40,000
仕訳の手順②:余った現金¥1,000を受け取っていますから、現金(資産)の増加です。資産の増加ですから現金(資産)を借方に仕訳します。
(現 金) 1,000 (仮 払 金) 40,000
仕訳の手順③:受け取った現金と前払い旅費の差引額が旅費交通費(費用)として確定しますから、費用の発生です。費用の発生ですから旅費交通費(費用)を借方に仕訳します。
(現 金) 1,000(仮 払 金) 40,000
(旅費交通費) 39,000
仕訳は自分の分かりやすいほうから切りるのが仕訳のコツです。仮払金(資産)の減少で貸方に仕訳するよりも、現金(資産)の増加と旅費交通費(費用)の発生で貸方に仕訳をする方が分かりやすい方は、現金(資産)の増加と旅費交通費(費用)の発生から先に仕訳を切りましょう。
また、資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をどうぞ。仕訳の基本なので大事ですよ。
出張費が確定し、足りなかった出張費を社員へ払ったときの取引例と仕訳
続けて仮払いの内容が確定したときの仕訳ですが、最後に出張の旅費が足りずに社員へ不足分を支払った場合の仕訳です。仮払金の内容が確定したので、仮払金(資産)を減少させるため借方に仕訳をするのは先ほどの場合と同じです。
こちらも取引の例で仕訳を見てみます。
取引の例:社員が出張から帰り、旅費の仮払額¥40,000の清算を行い、旅費の不足額¥3,000を現金で支払った。
仕訳の手順①:旅費(仮払金)が確定したので、仮払金(資産)を減少させます。資産の減少ですから、仮払金(資産)を貸方に仕訳します。
( ) (仮 払 金) 40,000
仕訳の手順②:旅費の不足額を現金で¥3,000支払っていますから、現金(資産)の減少です。資産の減少ですから現金(資産)を貸方に仕訳します。
( ) (仮 払 金) 40,000
(現 金) 3,000
仕訳の手順③:支払った現金と仮払金の合計額が旅費交通費(費用)として確定しますから、費用の発生です。費用の発生ですから旅費交通費(費用)を借方に仕訳します。
(旅費交通費) 43,000(仮 払 金) 40,000
(現 金) 3,000
この場合でも、仕訳は借方、貸方の切りやすい方から処理しましょう。
仮払金の仕訳と勘定科目のまとめ
- 仮払金とは、内容や金額が未確定の一時的な現金の支払いのときに用いられる勘定科目。
- 簿記3級では、仮払金勘定は従業員などへ出張費の概算を前もって渡しておくときに用いる勘定科目として主に出題される。
- 仮払金=前もって渡した仮払金を後日返してもらう権利=債権=資産の勘定科目
- 仮払金の清算は残額を受け取るときと不足額を支払う時がある。
- 仮払金の清算時には仮払金(資産)を消滅させるため貸方に仕訳し、相手科目として該当する費用などの勘定科目を仕訳する。
さて、今回は簿記3級に良く出題されるの仮払金勘定について、どんな勘定科目なのか、仕訳の例と処理方法などについてご説明してきましたが、いかがでしたか。
ところで、簿記資格を生かして会計や経理関係の正社員に就職するには簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをするのがおすすめです。また確実に簿記3級を取得したい方も通信講座を利用したほうがいいでしょう。
私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。
簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。
簿記検定の試験勉強頑張ってくださいね!無事に3級の試験を突破して経理職としてのキャリアップを実現させてください。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。