当ブログにお越しいただきありがとうございます。会計的お仕事女子のあんがお送りする簿記3級シリーズ記事です。今回は簿記3級でよく出題される、有価証券に関する仕訳のうち、公社債に関する仕訳について練習問題を解きながら解説していきます。特に…
- 有価証券(公社債)とはなに?
- 国債や社債を購入したときの仕訳はどうなるの?
- 国債や社債を売却したときの仕訳は?
- 国債や社債の仕訳の練習問題や解説はないのかな?
などの疑問やご要望にお応えしていきます。公社債の仕訳をマスターして、簿記3級合格へ、また一歩近づいていきましょう!
それでは、よろしくお願いします。
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有価証券とは
- 株式や公社債のこと
- 株式とは企業が資金を集めるために発行する有価証券。
- 株式は時価の変動により利益を得ることなどを目的に購入される。
- 公社債とは国が発行する国債や地方公共団体が発行する市債、大手企業が発行する社債などがある。
- 公社債は所持していると利息を得ることができる。
企業は資金に余裕があるときなどに、株式や国債、社債などの公社債に投資をする場合があります。これらの株式や公社債などのことを有価証券と言います。
株式は1株(ひとかぶ)2株(ふたかぶ)と数え、公社債は1口(ひとくち)2口(ふたくち)と数えます。この数え方は簿記の検定試験でも出題の時に用いられますので覚えておきましょう。
有価証券に関する仕訳は株式と公社債では少々違いがありますので、今回は公社債の購入と売却に絞ってお話を進めていきます。
株式の売買に関する仕訳については、こちらの記事をどうぞ。
簿記検定の出題では公社債の額面金額は1口あたり¥100です。公社債の額面総額が¥10,000の場合は100口ということになります。仕訳をするときに何口購入したか、または売却したかを計算することがありますので気を付けましょう。計算式は次のようになります。
- 額面金額÷¥100=購入(売却)した口数
詳しい仕訳問題の解き方は後ほど練習問題でご説明します。
公社債(有価証券)を購入したときの仕訳と練習問題
公社債購入時の仕訳では大きなポイントは2つです。1つ目は…
- 有価証券を購入したときの金額は手数料込みで仕訳する
という点です。式に直してみると…
有価証券の取得原価=購入代金+買入手数料
となります。ですから、購入単価は…
(購入代金+買入手数料)÷購入数=購入単価
という式で求められます。
2つ目のポイントは…
- 額面金額は購入金額にならず、何口買ったかと1口いくらかによって購入金額が決まる。
という点です。問題に書かれている金額をそのまま丸写しして仕訳をしてはいけないのです。式にしてみますと…
額面金額÷¥100(額面)=購入口数
取得原価=購入口数×1口あたりの単価+買入手数料
言葉と式だけで説明すると、ちょっと分かりにくいかと思いますので、練習問題を解説しながらみていきましょう。
公社債を購入したときの例題と仕訳
まずは公社債を購入したときの例題と仕訳です。
取引の例:額面総額¥100,000のB社社債を額面¥100につき¥95で買い入れ、手数料¥2,000とともに現金で支払った。
仕訳の手順①:現金で購入代金を支払ったので、現金(資産)の減少になります。現金(資産)の減少ですから貸方に仕訳します。ただし、ここで購入金額を計算しなくてはなりません。まずは購入口数を¥100,000÷¥100=1,000口として求めます。
次に1口あたりの価格に口数をかけて購入金額を求めます。¥95×1,000口=¥95,000となります。これに買入手数料が加わりますから、支払った金額は¥95,000+¥2,000=¥97,000となります。
( ) (現 金)97,000
仕訳の手順②:社債を購入したので、有価証券(資産)の増加になります。有価証券(資産)の増加ですから借方に仕訳します。このとき支払った買入手数料は有価証券(資産)に加えて仕訳します。
(有価 証券)97,000 (現 金)97,000
有価証券と買入手数料を分けて支払手数料で仕訳したくなりますが、手数料も有価証券の金額に足してしまうのが重要なポイントです。間違いやすいので気を付けてください。
また、仕訳は自分が分かりやすいほうから仕訳を切るのがポイントです。最初に現金(資産)の減少で貸方に仕訳するより、先に有価証券(資産)の増加で借方に仕訳する方が分かりやすいときは、有価証券(資産)の方から仕訳してもOKです。
ただし、有価証券から先に仕訳をするときには手数料も有価証券に含めるのを忘れずに!間違いを防止したいなら、先に現金(資産)の減少を貸方に仕訳する方がいいでしょう。
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公社債(有価証券)を売却したときの仕訳と練習問題
公社債を売却したときには買った時よりも安くなってしまい損失が出る場合と、買った時よりも高く売れて利益が出る場合の2パターンがあります。
- 公社債を売却して損失が出た=有価証券売却損(費用)で仕訳
- 公社債を売却して利益が出た=有価証券売却益(収益)で仕訳
この2つが公社債を売却したときの仕訳のポイントです。
公社債を売却したときに損失が出たときの例題と仕訳
次に、公社債を売却したときに損失が出てしまった場合について、実際の取引の例題で仕訳を見てみます。取得原価よりも売却金額の方が低いときはその差額(損をした分)を有価証券売価損勘定(費用)で仕訳します。
取引の例:額面総額¥100,000の額面¥100につき¥95で買い入れ、手数料¥2,000とともに現金で支払ったB社社債を、額面総額¥60,000を1口¥100につき¥93で売却し、代金は現金で受け取った。
仕訳の手順①:実務では既に購入した社債ですから、仕訳帳などに記録が残っているのでそれを参照します。
しかし、検定試験で問題として出題されたときに1口あたりの取得原価が指定されていなければ、売却した仕訳をする前に購入時にいったい1口あたりいくらで購入したのか計算しなければなりません。手順は以下の通りです。
<公社債の購入単価の求め方>
- まずは購入口数を¥100,000÷¥100=1,000口として求めます。
- 次に1口あたりの価格に口数をかけて購入金額を求めます。
- ¥95×1,000口=¥95,000となります。
- これに手数料を加えて取得原価は¥95,000+¥2,000=¥97,000です。
- 更に¥97,000÷1000口=¥97として購入時の1口あたりの単価を求めます。
ここまでできて、いよいよ売却時の仕訳となります。額面総額¥60,000÷¥100=600口となりますから、売却した社債は600口です。売却価格は1口あたり¥93ですから、¥93×600口=¥55,800となります。代金を現金で受け取っていますので、現金(資産)の増加として借方に仕訳します。
(現 金)55,8000 ( )
仕訳の手順②:次に公社債を売却したので有価証券(資産)が減少します。有価証券(資産)の減少ですから貸方に仕訳をします。ただし、減少する有価証券の金額は取得原価(買ったときの金額)になりますので注意してください。
購入時の単価は1口あたり¥97です。600口売却していますので、¥97×600=¥58,200の公社債を手放したことになります。有価証券(資産)の減少になりますから、有価証券を貸方に仕訳します。
(現 金)55,800 (有価 証券)58,200
仕訳の手順③:取得原価と売却価格の差額が損失分になります。¥58,200-¥55,800=¥2,400として損失額を求めましょう。その後、損失分を有価証券売却損(費用)で仕訳します。費用の発生ですから有価証券売却損(費用)を借方に仕訳します。
(現 金)55,800 (有価 証券)58,200
(有価証券売却損) 2,400
差額で有価証券売却損の金額を求めるのが基本ですが、現金55,800と有価証券58,200が釣り合うように「現金に後いくら足したら58,200になるかな?」と考えてもいいでしょう。仕訳は借方と貸方の合計金額が必ず等しくなりますので仕訳が合っているかどうかの確かめをするポイントにもなります。
また公社債の売却の仕訳の時には取得時の1口あたりの原価と売却時の1口あたりの価格の区別をはっきりとさせておくことが重要です。取り違えると計算ミスになりますので気を付けてください。
公社債を売却したときに利益が出たときの例題と仕訳
次に、公社債を売却したときに利益が出た場合について、実際の取引の例題で仕訳を見てみます。
購入時の取得原価は先ほどの売却損のときと同じ例で考えてみます。取得原価と1口あたりの単価の求め方は先ほどと同じです。念のためもう一度書いておきますね。
取引の例:額面総額¥100,000の額面¥100につき¥95で買い入れ、手数料¥2,000とともに現金で支払ったB社社債を、額面総額¥60,000を1口¥100につき¥98で売却し、代金は現金で受け取った。
仕訳の手順①:
売却した仕訳をする前に購入時の1口あたりの取得原価をまずは計算します。
<公社債の購入単価の求め方>
- まずは購入口数を¥100,000÷¥100=1,000口として求めます。
- 次に1口あたりの価格に口数をかけて購入金額を求めます。
- ¥95×1,000口=¥95,000となります。
- これに手数料を加えて取得原価は¥95,000+¥2,000=¥97,000です。
- 更に¥97,000÷1000口=¥97として購入時の1口あたりの単価を求めます。
仕訳の手順①:額面総額¥60,000÷¥100=600口となりますから、売却した社債は600口です。売却価格は1口あたり¥98ですから、¥98×600口=¥58,800となります。代金を現金で受け取っていますので、現金(資産)の増加として借方に仕訳します。
(現 金)58,800 ( )
仕訳の手順②:次に公社債を売却したので有価証券(資産)が減少します。有価証券(資産)の減少ですから貸方に仕訳をします。ただし、減少する有価証券の金額は取得原価(買ったときの金額)になりますので注意してください。
購入時の単価は1口あたり¥97です。600口売却していますので、¥97×600=¥58,200の公社債を手放したことになります。有価証券(資産)の減少になりますから、有価証券を貸方に仕訳します。
(現 金)58,800 (有価 証券)58,200
仕訳の手順③:取得原価と売却価格の差額が利益になります。¥58,800-¥58,200=¥600として差額で利益を求めましょう。その後、利益分を有価証券売却益(収益)で仕訳します。収益の発生ですから有価証券売却益を貸方に仕訳します。
(現 金)58,800 (有 価 証 券)58,200
(有価証券売却益) 600
ここでも差額で有価証券売却益の金額を求めるのが基本ですが、現金58,800と有価証券58,200が釣り合うように「有価証券に後いくら足したら58,800になるか?」と考えてもいいでしょう。先ほども書きましたが、仕訳は借方と貸方の合計金額が必ず等しくなります。大事なポイントなので絶対に覚えてください。
また、ここでも先ほどと同じように、1口あたりの取得原価と売却時の1口あたりの価格をしっかりと区別して計算してください。
資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をどうぞ。仕訳の基本なので大事ですよ!
公社債(有価証券)の購入や売却時の仕訳のまとめ
- 公社債を購入したときの金額(取得原価)は手数料込みで仕訳する
- 公社債の売却時の仕訳では、購入時の1口あたりの取得原価と売却時の1口あたりの価格を求める必要がある。
- 公社債を売却して損失が出た=有価証券売却損(費用)で仕訳
- 公社債を売却して利益が出た=有価証券売却益(収益)で仕訳
- 仕訳は必ず借方と貸方の合計金額が一致するので、差額で有価証券売却損や有価証券売却益を計算する。
さて、今回は簿記でよく出題される公社債(有価証券)の売却や購入に関する取引の仕訳についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ところで、簿記資格を生かして会計や経理関係の仕事に就くには簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをするのがおすすめです。
また確実に簿記3級を取得したい方も通信講座を利用したほうがいいでしょう。
私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。
簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。
それでは、簿記検定の試験勉強頑張ってくださいね!無事に簿記3級の試験を突破することを祈っております。そして、ぜひ簿記2級まで取得してキャリアアップを果たして下さい。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。