売買目的有価証券(株式)購入や売却時の仕訳【簿記2級】勘定科目と取引例の解説

紙の有価証券(株券)

日本経済新聞

 当ブログにお越しいただきありがとうございます。会計的お仕事女子のあんがお送りする簿記3級シリーズ記事です。今回は簿記2級でよく出題される、売買目的有価証券に関する仕訳のうち、株式に関する仕訳について練習問題を解きながら解説していきます。特に…

  • 売買目的有価証券とはなに?どんな勘定科目?
  • 株式を購入したときの仕訳はどうなるの?
  • 株式を売却したときの仕訳は?
  • 株式の仕訳の例や練習問題の解説をして欲しい。

 などの疑問やご要望にお応えしていきます。有価証券の仕訳をマスターして、簿記3級合格へ、また一歩近づいていきましょう!

    それでは、よろしくお願いします。

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売買目的有価証券とは~どんな勘定科目?

  • 有価証券とは株式や公社債のこと
  • 株式とは企業が資金を集めるために発行する有価証券。
  • 株式は時価の変動により利益を得ることなどを目的に購入される。
  • 公社債とは国が発行する国債や地方公共団体が発行する市債、大手企業が発行する社債などがある。
  • 公社債は所持していると利息を得ることができる。
  • 有価証券を売買目的で買ったり売ったりしたときは、売買目的有価証券という勘定科目を用いて仕訳する。
  • 売買目的有価証券は換金できるので資産の勘定科目

 企業は資金に余裕があるときなどに、株式や国債、社債などの公社債に投資をする場合があります。これらの株式や公社債などのことを有価証券と言います。

 ちなみに株式と言えば以前はトップ画像のように紙の株券でしたが、2009年から電子化されて、紙の株券はほとんど存在しなくなりました。

 株式は1株(ひとかぶ)2株(ふたかぶ)と数え、公社債は1口(ひとくち)2口(ふたくち)と数えます。この数え方は簿記の検定試験でも出題の時に用いられますので覚えておきましょう。

 有価証券に関する仕訳は株式と公社債では少々違いがありますので、今回は株式の購入と売却に絞ってお話を進めていきます。

 公社債の仕訳については別記事で解説しますので、そちらをご覧ください。

 

株式(売買目的有価証券)を購入したときの仕訳~取引例と解説

 株式(売買目的有価証券)の仕訳のポイントは、ずばり一つです。

  • 株式(売買目的有価証券)を購入したときの金額は手数料込みで仕訳する

 ちなみにこのポイントは公社債のときも同じになります。式に直してみると…

 株式の取得原価=購入代金+買入手数料

となります。ですから、購入単価は…

 (購入代金+買入手数料)÷購入数=購入単価

 という式で求められます。言葉と式だけで説明すると、ちょっと分かりにくいかと思いますので、練習問題を解説しながらみていきましょう。

 

株式を購入したときの取引例と仕訳

 まずは株式を購入したときの取引の例題と仕訳の仕方です。

取引の例:A社株式100株を1株600円で購入し、買入手数料¥1,000円と共に現金で支払った。

仕訳の手順①:現金で購入代金を支払ったので、現金(資産)の減少になります。現金(資産)の減少ですから貸方に仕訳します。

(      )   (現  金)61,000

仕訳の手順②:有価証券を購入したので、有価証券(資産)の増加になります。有価証券(資産)の増加ですから借方に仕訳します。このとき支払った買入手数料は売買目的有価証券(資産)に加えて仕訳します。

売買目的有価証券)61,000(受取手形)61,000

 

 売買目的有価証券と買入手数料を分けて支払手数料で仕訳したくなりますが、手数料と売買目的有価証券の購入金額を合算してしまうのが重要なポイントです。間違いやすいので気を付けてください。

 また、仕訳は自分が分かりやすいほうから仕訳を切るのがポイントです。最初に現金(資産)の減少で貸方に仕訳するより、先に売買目的有価証券(資産)の増加で借方に仕訳する方が分かりやすいときは、売買目的有価証券(資産)の方から仕訳してもOKです。

 ただし、売買目的有価証券から先に仕訳をするときには手数料も売買目的有価証券に含めるのを忘れずに!間違いを防止したいなら、先に現金(資産)の減少を貸方に仕訳する方がいいでしょう。

 この株式の購入単価は¥61,000÷100株=@¥610となります。メールアドレスなどでよく使われる@(アットマーク)は簿記では単価を表す時に使いますので、覚えておいてください。

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株式(売買目的有価証券)を売却したときの仕訳~取引例による練習問題と解説

 株式を売却したときには買った時よりも安くなってしまい損失が出る場合と、買った時よりも高く売れて利益が出る場合の2パターンがあります。

  • 株式を売却して損失が出た=有価証券売却損(費用)で仕訳
  • 株式を売却して利益が出た=有価証券売却益(収益)で仕訳

 この2つが株式を売却したときのポイントです。

 

株式を売却したときに損失が出たときの取引例と仕訳

 次に、株式を売却したときに損失が出てしまった場合について、実際の取引の例題で仕訳を見てみます。取得原価よりも売却金額の方が低いときはその差額(損をした分)を有価証券売価損勘定(費用)で仕訳します。

取引の例:A社株式(1株¥610で購入)100株を1株¥550円で売却し、代金は現金で受け取った。

仕訳の手順①:代金を現金で受け取ったので、現金(資産)の増加です。現金(資産)の借方に仕訳します。売却した金額は¥550×100株=¥55,000と計算して求めます。

(現  金)55,000 (     )

仕訳の手順②:次に株式を売却したので売買目的有価証券(資産)が減少します。売買目的有価証券(資産)の減少ですから貸方に仕訳をします。ただし、減少する売買目的有価証券の金額は取得原価(買ったときの金額)になりますので注意してください。

 ¥610×100株=¥61,000と計算して取得原価(買ったときの金額)を計算しましょう。

(現   金)55,000(売買目的有価証券)61,000

仕訳の手順③:取得原価と売却価格の差額が損失分になります。¥61,000-¥55,000=¥6,000として損失額を求めましょう。その後、損失分を有価証券売却損(費用)で仕訳します。費用の発生ですから有価証券売却損(費用)を借方に仕訳します。

(現     金)55,000(売買目的有価証券)61,000

有価証券売却損)6,000

 

 差額で有価証券売却損の金額を求めるのが基本ですが、現金55,000と有価証券61,000が釣り合うように「現金に後いくら足したら61,000になるかな?」と考えてもいいでしょう。仕訳は借方と貸方の合計金額が必ず等しくなりますので仕訳が合っているかどうかの確かめをするポイントにもなります。

 

株式を売却したときに利益が出たときの取引例と仕訳

 次に、株式を売却したときに利益が出た場合について、実際の取引の例題で仕訳を見てみます。

取引の例:A社株式(1株¥610で購入)100株を1株¥650円で売却し、代金は現金で受け取った。

仕訳の手順①:代金を現金で受け取ったので、現金(資産)の増加です。現金(資産)の借方に仕訳します。売却した金額は¥650×100株=¥65,000と計算して求めます。

(現  金)65,000 (     )

仕訳の手順②:次に株式を売却したので売買目的有価証券(資産)が減少します。売買目的有価証券(資産)の減少ですから貸方に仕訳をします。ただし、減少する売買目的有価証券の金額は取得原価(買ったときの金額)になりますので注意してください。

 ¥610×100株=¥61,000と計算して取得原価(買ったときの金額)を計算しましょう。

(現  金)65,000 (売買目的有価証券)61,000

仕訳の手順③:取得原価と売却価格の差額が利益になります。¥65,000-¥61,000=¥4,000として利益額を求めましょう。その後、利益分を有価証券売却益(収益)で仕訳します。収益の発生ですから有価証券売却益(収益)を貸方に仕訳します。

(現  金)65,000 (売買目的有価証券)61,000

             (有価証券 売却益)  4,000

 

 ここでも差額で有価証券売却益の金額を求めるのが基本ですが、現金65,000と有価証券61,000が釣り合うように「有価証券に後いくら足したら65,000になるか?」と考えてもいいでしょう。先ほども書きましたが、仕訳は借方と貸方の合計金額が必ず等しくなります。大事なポイントなので絶対に覚えてください。

 

 資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をどうぞ。仕訳の基本なので大事ですよ!

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株式(売買目的有価証券)の仕訳と勘定科目のまとめ

  • 有価証券とは株式や公社債のこと
  • 売買目的有価証券は換金できるので資産の勘定科目
  • 株式を購入したときの金額(取得原価)は手数料込みで仕訳する
  • 株式を売却して損失が出た=有価証券売却損(費用)で仕訳
  • 株式を売却して利益が出た=有価証券売却益(収益)で仕訳
  • 仕訳は必ず借方と貸方の合計金額が一致するので、差額で有価証券売却損や有価証券売却益を計算する。

 さて、今回は簿記でよく出題される株式(売買目的有価証券)に関する取引の仕訳や勘定科目についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 ところで、簿記資格を生かして会計や経理関係の仕事に就くには簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをするのがおすすめです。

また確実に簿記3級を取得したい方も通信講座を利用したほうがいいでしょう。

 私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。

 簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 それでは、簿記検定の試験勉強頑張ってくださいね!無事に簿記3級の試験を突破することを祈っております。そして、ぜひ簿記2級まで目指してキャリアアップを狙ってください。

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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