決算整理とは【簿記3級】決算整理ですることは?いつするの?

簿記3級の決算整理とは/決算ですることは?

 簿記の勉強たいへんお疲れ様です。会計的お仕事女子のあんがお送りする簿記3級シリーズ記事にようこそ。

 今回はいよいよ決算整理についてです。簿記3級での学習もここまでくればいよいよ最終段階ですね。決算整理について勉強していると…

  • 決算整理とは何?どんなことをするの?
  • 決算ではなんで決算整理をしなければいけないの?
  • 決算で決算整理をするのは分かるけど…決算整理はいつ?
  • 簿記3級の決算整理が難しい…分かりやすく解説してほしい。

 などのような疑問やご要望をおもちになるのではないでしょうか。これらの疑問やご要望に、日商簿記2級ホルダーで経理女子のあんがお答えしていきます。

 決算整理についての理解を深め、簿記3級合格を勝ち取ってください!

    それでは、よろしくお願いします。

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決算整理とは?いつするの?

  • 決算整理とは決算において企業の経営成績や財政状態を正しく示すために、総勘定元帳の各勘定残高を修正すること。
  • 決算整理を行う必要があるものを決算整理事項という。
  • 日商簿記3級では10の決算整理事項がある。
  • 決算整理に必要な仕訳のことを決算整理仕訳という。
  • 決算整理は決算整理前残高試算表作成後に行う。

 決算にあたって、企業の正しい経営成績(もうけ)や財政状態(資産と負債のバランス)を示すために、期中の取引が記録されている総勘定元帳の各勘定残高に一定の修正を加える手続きを決算整理といいます。

 「正しく仕訳をしていれば修正の必要なんてあるの?」という気がしますが、期中に正しく仕訳をしていたとしても、本来であれば来期の収益としなければならないものや、来期の費用としなければならないものがあります。

 家賃を前払いしていたとして、その分に来期の分も入っていたらその家賃は正しくは期中のものではありませんよね。

 このような修正を行うのが決算整理です。決算整理は仕訳を切って行います。決算時に追加の仕訳を切って今までの帳簿を修正するというわけです。

 決算整理は決算整理前の残高試算表作成後に行いますが、詳しい決算の流れを知りたい方はこちらの記事をどうぞご覧ください。

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日商簿記3級で学ぶ決算整理事項

  1. 売上原価の計算
  2. 貸倒引当金の計上
  3. 有形固定資産の減価償却
  4. 費用・収益の決算整理
  5. 現金過不足の決算整理
  6. 現金の決算整理
  7. 当座借越の振替え
  8. 貯蔵品の決算整理
  9. 消費税の決算整理
  10. 法人税等の決算整理

 こうして並べてみると結構多いですよね。今回は決算整理について大まかにどんなことをするのかを捉えて、決算整理の概要と全体像を理解してもらいたいと思いますので、ざっくりと説明していきます。

 

売上原価の計算

  • 期首の繰越商品(期首商品棚卸高)は売り切っているのでその会計処理が必要。
  • 当期に仕入れた商品のうち、当期に売り上げた分のみを当期の費用として計上する会計処理が必要。
  • 売れ残った商品は繰越商品として資産計上。

 売上原価というのは当期に売り上げた商品の原価(仕入れ値)のことです。繰越商品勘定に残っていた前期に売れ残った商品は今期に売り切っているはずです。そんなわけで繰越商品に残っている前期からの繰越商品を売り切る会計処理が必要です。

 また、当期に仕入れた商品はすべて当期で売り切れるわけでないですよね。いくらかは在庫として残っているはずです。その在庫として残っている商品(期末商品棚卸高)の仕入れ値は来期の費用とすべきです。また、在庫として売れ残った商品は繰越商品勘定へ振替えて資産として計上しなければなりません。

 これらの処理を行うには、期首の繰越商品(期首商品棚卸高)と当期に仕入れた商品を合計して期末の商品残高(商品棚卸高)を差引き、売上原価(当期に売り上げた商品の仕入れ額)をもとめる必要があります。

 売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

という式は覚えてしまった方が便利ですよ。

 

貸倒引当金の計上

  • 受取手形や売掛金が回収不能になることを貸倒れという。
  • 受取手形や売掛金の回収不能に備えて貸倒引当金を計上する。
  • 貸倒引当金(資産のマイナス)の計上は来期の貸倒れを予想して期末に見積り計上する。
  • 貸倒引当金(資産のマイナス)を計上するときには当期の費用として計上し、貸倒引当金繰入(費用)という勘定科目を相手勘定科目に使う。

有形固定資産の減価償却

  • 建物や備品などの有形固定資産は年々価値が減少する。
  • 有形固定資産の価値減少分は減価償却費(費用)として決算時に計上する。

 家計では一度買ったものに対しては、故障や破損でもしない限り費用は払いません。しかし、複式簿記では建物などの価値減少分も毎年費用として計上しなければなりません。

 余談になりますが、企業の黒字決算を難しくする要因の一つとして、この減価償却費があります。資金的には黒字で回っていても、減価償却費のために赤字というのは、じつはよくある話だったりします。

 

費用・収益の決算整理

  • 当期に支払った費用のうち、来期以降の費用になるものを繰越す。
  • 当期ですでに収益として受け取っているが、来期以降の収益とすべきものを繰り越す。
  • 当期ですでに費用が発生しているが、支払いが来期以降のものを当期の費用として追加する。
  • 当期ですでに収益として発生しているが、お金の受け取りが来期以降のものは当期の収益として追加する。

 例えば事務所の家賃を1年契約で支払っていたとします。その場合、決算日以降にも契約月数が残っていたりする時がありますよね。でも1年契約ですからすでに家賃は支払っています。でも決算日以降の支払い済み家賃は来期の費用としなければなりません。

 また、お金を貸したけれども利息の受け取りは1年に1回とかだったりすると、決算日に利息をまだ受け取っていないことがありますよね。でも貸してから決算日までの月数は利息が発生しています。その分は当期の収益としなければなりないのです。

 

現金過不足の決算整理

  • 決算の時点でも現金過不足の原因が判明していないときの処理
  • 現金過不足の原因が判明した場合は正しい処理に振替える仕訳をする。
  • 現金過不足の原因が判明しなかった場合は雑損勘定(費用)又は雑益勘定(収益)に振替えて処理。

 

現金の決算整理

  • 決算日に現金勘定に過不足が生じた場合の処理。
  • 現金不一致の原因が判明したときは、現金過不足勘定を使わずに、直接過不足の原因となった勘定へ振替える。
  • 現金不一致の原因が判明しないときは、現金勘定から直接、雑損勘定(費用)か雑益勘定(収益)へ振替える。

 

当座借越の振替え

  • 当座借越とは当座預金の残高を超えて振出した場合の銀行からの借入れのこと。
  • 当座預金勘定の貸方残高は、当座借越による負債なので、決算の時に当座借越勘定(負債)か借入金勘定(負債)に振替える。 

 

貯蔵品の決算整理

  • 郵便切手を購入したときに、全額を使用前に通信費勘定(費用)で記帳した場合、決算時に未使用分を貯蔵品勘定(資産) に振替える。
  • 収入印紙の租税公課(費用)の場合も同じ。

 

消費税の決算整理

  • 消費税を税抜き方式で記帳した場合、決算時に仮払消費税勘定(資産)と仮受消費税勘定(負債)を清算し、
  • 商品売買業の場合、仮受消費税勘定(負債)が多くなるので、差額を未払消費税勘定(負債)の貸方へ記帳。
  • 未払消費税勘定(負債)の金額が消費税の納付確定額となる。 

 

法人税等の決算整理

  • 株式会社が獲得した利益(所得)に対して掛けられる税金は、法人税、住民税、事業税の3種類。
  • 法人税、住民税、事業税は決算で納付額が確定する。
  • 確定した納税額は決算時に法人税、住民税及び事業税勘定(費用)と仮払法人税等勘定(負債)を用いて記帳する。

 

決算整理をするために~棚卸表

 また、決算を行うために、今まで出てきた決算整理事項などを調べて1つの表にまとめたものを、棚卸表(たなおろしひょう)といいます。 

 

決算整理のまとめ

決算整理とは

  • 決算整理とは決算において企業の経営成績や財政状態を正しく示すために、総勘定元帳の各勘定残高を修正すること。
  • 決算整理を行う必要があるものを決算整理事項という。
  • 決算整理は決算整理前試算表作成後に行う。

日商簿記3級で扱う決算整理事項

  1. 売上原価の計算
  2. 貸倒引当金の計上
  3. 有形固定資産の減価償却
  4. 費用・収益の決算整理
  5. 現金過不足の決算整理
  6. 現金の決算整理
  7. 当座借越の振替え
  8. 貯蔵品の決算整理
  9. 消費税の決算整理
  10. 法人税等の決算整理

 

 さて、今回は簿記検定学習の最終段階である、決算整理についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。決算整理はまだまだ学習することがたくさんありますから、どんどん記事にまとめていきますので、よろしくお願いします。

 ところで、簿記資格を生かして会計や経理の仕事に正社員として就職するには、簿記2級以上の取得が必須です。

簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをしましょう。

また確実に簿記3級を取得したい方も、通信講座を利用をおすすめします。

 私も通信講座で簿記3級と2級を取得し、経理の正社員へ転職しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。

 簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 それでは、簿記検定の試験勉強頑張ってくださいね!簿記3級の試験を無事突破することを祈っております。そして、ぜひ簿記2級までステップアップして経理正社員としての就職を果たしてください。

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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