前払金の仕訳【簿記3級】勘定科目と取引例の解説~なぜ資産の勘定科目?

前払金の仕訳

  こんにちは。会計的お仕事女子のあんがお送りする経理と簿記の仕訳解説シリーズ記事です。今回は簿記3級で扱う商品売買のうち、前払金の仕訳について解説していきます。

  • 前払金とはなに?どんな時に使う勘定科目なの?
  • 前払金を支払ったときの仕訳はどうなるの?
  • 前払金って前もって現金などを支払うのになぜ資産なの?
  • 内金や手付金を支払って商品を仕入れたときの仕訳は?
  • 前払金の仕訳の例や練習問題、解説はないのかな?

 などのような疑問やご要望にお答えしていきます。前払金の仕訳をマスターして、簿記3級合格に一歩近づきましょう!

 また、経理事務の方で仕訳の例を確認したいという方も是非ご活用ください。それでは、よろしくお願いいたします。

    それでは、よろしくお願いします。

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前払金とは?どんな勘定科目?

  • 前払金は仕入れた商品を受け取る前に代金の一部を内金や手付金として支払ったときに使う勘定科目

  商品を注文したとき、つまり仕入れたときにその契約を確実なものにするため、商品を受け取る前に代金の一部を内金や手付金として支払うことがあります。そのときに簿記の仕訳で使う勘定科目が前払金です。

 日常のお買い物でも車など高額の商品の支払をするときに、内金を前払いすることがあるかと思います。それと同じです。

 

前払金の仕訳の例と解説~前払金はなぜ資産?

 それでは、早速前払金の仕訳の処理を見ていきましょう。前払金の仕訳を行うときのポイントは1つです。

  • 前払金は資産である。

 お金を前もって払うのに資産というのはイメージがもちにくいですよね。それでは次に、前払金がなぜ資産なのかをご説明していきます。

 

前払金はなぜ資産なのか?

  • 前払金を払うことで、後日商品を受け取る権利を手に入れるので資産

 商品は資産の一種と考えられます。前払金を支払うことで、後日資産である商品を受け取る権利を手に入れることになるので、前払金は資産となります。

 また、債権や債務という点から考えることもできます。後日金銭などを受け取る権利のことは債権と言います。債権は全て資産ですから前払金は資産となります。前払金は債権の一種なのです。

 債権や債務について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

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 前払金=資産のイメージをもちにくければ、前払金=資産と暗記してしまってもいいでしょう。

 また、前払金の仕訳の処理は、内金を支払ったときと後日商品を受け取ったときに必要になりますので、内金を支払ったときと、商品を受け取ったときの2パターンに分けて仕訳を見てみましょう。

 

内金や手付金(前払金)を支払ったときの取引例と仕訳

 商品を注文したときに、代金の一部を内金または手付金として前払いしたときは、注文先に支払った金額を前払金(資産)の増加として借方に仕訳します。

 前払金の発生が資産の増加になるのは先ほども触れたように、後日商品を受け取る権利だからです。大事なので何度も書きますね。「お金を払うのになんで資産の増加なの?」と間違いやすいところですから気を付けて仕訳をしてください。

 では、実際の取引の例で前払金の仕訳を見てみます。

取引の例:札幌商店と商品¥30,000の仕入契約を結び、内金として¥5,000を現金で支払った。

仕訳の手順①:現金を支払ったので、現金(資産)の減少として貸方に仕訳します。

(     )     (現   金) 5,000

仕訳の手順②:内金の支払いは、後日商品を受け取る権利、つまり前払金(資産)の増加です、資産の増加ですから前払金(資産)を借方に仕訳します。

(前 払 金) 5,000 (現   金) 5,000

 注意してほしいのは仕入契約の¥30,000は仕訳とは関係ないということです。あくまでも内金を支払ったときに動いた現金などについてのみ仕訳をします。まだ商品が動いたわけではないので仕入勘定も使いません。

後日商品を受け取った(仕入の)ときの取引例と仕訳

  内金や手付金(前払金)を支払い、後日商品を受け取ったときには、後日商品を受け取る権利(前払金)が消滅します。こちらも取引の例で仕訳を見てみましょう。

取引の例:かねて札幌商店に注文していた商品¥30,000を受取り、代金のうち¥5,000は注文時に支払った内金と相殺し、残額は掛けとした。

仕訳の手順①:まず、仕入商品を受け取ったので仕入(費用)の発生として借方に記帳します。

(仕   入)30,000 (     )

仕訳の手順②:次に、実際に商品を受け取ったので、後日商品を受け取る権利である前払金(資産)が消滅します。前払金(資産)¥5,000の減少として貸方に記帳します。

(仕   入)30,000 (前 払 金)  5,000

仕訳の手順③:残りの金額(30,000-5,000=25,000)は掛け取引による仕入れなので、買掛金(負債)の増加として貸方に記帳し、次のように仕訳します。

(仕   入)30,000 (前 払 金)  5,000

            (買 掛 金)25,000

 仕訳は自分の分かりやすいほうから切るのがポイントです。仕入(費用)の発生で借方に仕訳するよりも、前払金(資産)の減少と買掛金(負債)の増加で貸方に仕訳をする方が分かりやすい方は、前払金(資産)と買掛金(負債)の仕訳から切りましょう。

 また、資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をどうぞ。仕訳の基本なので大変重要です。

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前払金の仕訳練習問題

 それでは、前払金の仕訳の練習問題に取り組んでみましょう。こちらも取引例を出して解説していきます。

仕訳練習問題①

取引の例:A商店と商品¥700,000の仕入契約を結び、内金として¥50,000を現金で支払った。

 

 解説を見る前にまずは自分で仕訳をしてみてください。できましたか?それでは答え合わせをしていきましょう。

 

仕訳の手順①:まず、現金を支払っていますので、現金(資産)の減少です。資産の減少ですから現金(資産)を貸方に仕訳します。

(     )    (現   金)50,000

仕訳の手順②:仕入と仕訳したくなりますが、ここはひっかけです。仕入契約を結んだだけでまだ仕入れていません。ですから内金の支払いで、前払金(資産)の増加となります。資産の増加ですから、前払金(資産)を借方に仕訳します。

(前 払 金) 50,000(現   金)50,000

 

仕訳練習問題②

取引の例:かねてA商店に注文していた商品¥700,000を受取り、代金のうち¥50,000は注文時に支払った内金と相殺し、残額は約束手形を振出して支払った。

 

 こちらも解説を見る前にまずは自分で仕訳をしてみましょう。どうでしょうか?それでは答え合わせをしていきます。

 

仕訳の手順①:まず、仕入商品を受け取ったので仕入(費用)の発生として借方に記帳します。

(仕   入)700,000(     )

仕訳の手順②:次に、実際に商品を受け取ったので、内金として支払っていた後日商品を受け取る権利である前払金(資産)が消滅します。前払金(資産)¥50,000の減少として貸方に記帳します。

(仕   入)700,000(前 払 金) 50,000

仕訳の手順③:残りの金額(700,000-50,000=650,000)は約束手形を振出して支払ったので、支払手形(負債)の増加です。負債の増加ですから支払手形(負債)を貸方に記帳し、次のように仕訳します。

(仕   入)700,000(前 払 金)  50,000

             (支払 手形)650,000

 

前払金という勘定科目と仕訳のまとめ

  • 前払金は商品を受け取る前に代金の一部を内金や手付金として支払ったときに使う勘定科目
  • 前払金は後日商品を受け取る権利なので資産の勘定科目
  • 前払金を支払ったときには仕入の仕訳はしない。
  • 商品を受け取ったときには前払金を消滅させ、仕入を計上
  • 残額は買掛金や現金などで仕訳

 前払金と一緒に覚えると効率的な前受金の仕訳についての記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 さて、今回は簿記3級の商品売買の仕訳として、前払金の仕訳についてご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 ところで、簿記資格を生かして会計や経理の正社員に就職するには簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをしましょう。また確実に簿記3級を取得したい方も通信講座を利用したほうがいいでしょう。

 私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を見れます。講義の動画は繰り返し何度も見れるので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。

 簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 簿記検定試験の試験勉強頑張ってくださいね!簿記検定合格の一番の近道は、とにかく仕訳問題をたくさん解くとこです。仕訳を切りまくって、無事に簿記3級の試験を突破することを祈っております。

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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