こんにちは。短歌女子のあんがお送りする短歌シリーズ記事です。今回は代表的な歌人の一人、俵万智さんをご紹介します。
- 俵万智さんってどんな歌人?
- 俵万智さんの短歌の代表作を知りたい!
- 俵万智さんの本でおすすめの本は何?
などとお考えの方のお役に立つよう記事をまとめていきますね。
俵万智さんは私の大好きな歌人の一人です。やさしく分かりやすい言葉を選んで短歌を作るにもかかわらず、 物事への切り口が斬新で、たいへん鋭い感性で短歌を作られる歌人です。使う言葉が分かりやすいので、これから短歌を始めようという方にとって、大変参考になる短歌作品が多い歌人でもあります。
ぜひ、今回の記事で俵万智さんと俵万智さんの短歌の素晴らしさを知って、短歌の世界への一歩を踏み出し、短歌の魅力に浸っていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
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俵万智~略歴
- 生年月日:1962年12月31日
- 出身地:大阪府北河内郡門真町(現門真市)
- 出身校:早稲田大学第一文学部
- 短歌の師匠は佐佐木幸綱
- 元神奈川県立橋本高等学校の国語教員
第一歌集『サラダ記念日』で一世を風靡しました。マイナー文学と言われる短歌界では珍しく、日本で知らない人がいないほど一番有名な歌人だと思います。高校生時代は演劇部に所属していたそうです。
早稲田大学第一文学部に入学し、あの独特の風貌で有名な男歌を歌う歌人、佐佐木幸綱に師事し短歌の世界に入ります。
大学を卒業後は、神奈川県立橋本高等学校の国語教員として働きながら短歌を作り続けました。国語教員のときに発表した『野球ゲーム』で第31回角川短歌賞次席となります。自由奔放な作風が話題をさらいました。
翌年『八月の朝』で第32回角川短歌賞を受賞し、1987年発行の第一歌集『サラダ記念日』は短歌集としては異例の大ベストセラーとなります。それまでの短歌は文語調が多く、短歌の知識がない方は解釈するのにも一苦労というのが普通でした。そんな中、俵万智さんは、分かりやすい言葉選びと日常から題材を拾っているにもかかわらず、物事の切り口が斬新という、新しい短歌の在り方を提示したと言えるでしょう。親しみやすい歌風は今も多くの人々の心を掴んで離しません。
その後、1991年に第二歌集『かぜのてのひら』を、1997年に第三歌集『チョコレート革命』、2005年に第四歌集『プーさんの鼻』を、2013年には第五歌集『オレがマリオ』を世に送り出しています。
第三歌集『チョコレート革命』のときにもかなり話題になりましたね。本屋さんに山積みされていたのが記憶に残っています。第二文学(2番目という意味、本流ではないということ)とさえ言われたことのある短歌文学界の中、歌人として純粋に歌集だけでなりわいを得ているのは俵万智さんただ一人なのではないでしょうか。それほどすごい歌人なのです。
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俵万智の受賞歴など
- 1986年:『八月の朝』で角川短歌賞受賞。
- 1987年:『サラダ記念日』が280万部のベストセラーに。
- 1988年:『サラダ記念日』で現代歌人協会賞受賞。
- 1989年3月: 神奈川県立橋本高校 を退職。
- 1990年: 第57回Nコン中学校の部課題曲として「朝のバス」を作詞
- 2003年:『愛する源氏物語』で紫式部文学賞受賞。
- 2006年:『プーさんの鼻』で若山牧水賞受賞。
- 2006年:第74回NHK全国学校音楽コンクール小学校の部の課題曲として「手をのばす」を作詞。
- 2019年:『牧水の恋』で第29回宮日出版大賞特別大賞を受賞
短歌女子の私ですが、同時に合唱女子でもあります。合唱女子の私としてはNコン課題曲の作詞を手掛けているのがとても嬉しいですね。余談にはなりますが、合唱シリーズ記事でもぜひ取り上げてみたいと思います。
個人的には「朝のバス」より「手をのばす」の方が好きですね。ちなみに「手をのばす」の合唱はこちらです。よかったら聞いてみてください。
小学生の部の課題曲になっていますが、掛け合いが多くけっこう難しい合唱曲です。
俵万智~短歌の代表作10選!
次に私が独断と偏見で選んだ、俵万智さんの短歌の代表作を10首ご紹介します。
寄せ返す波のしぐさの優しさにいつ言われてもいいさようなら
思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ
落ちてきた雨を見上げてそのままの形でふいに、唇が欲し
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
たっぷりと君に抱かれているようなグリンのセーター着て冬になる
潮風に君のにおいがふいに舞う 抱き寄せられて貝殻になる
約束のない一日を過ごすため一人で遊ぶ「待ち人ごっこ」
~『サラダ記念日』
ひかれあうことと結ばれあうことは違う二人に降る天気あめ
散るという飛翔のかたち花びらはふと微笑んで枝を離れる
チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月
~『かぜのてのひら』
おもわず恋愛の短歌が多くなってしまいました。中でも「寒いねと~」の短歌はかなり有名だと思いますし、私自身も大変好きな俵万智さんの短歌の1つです。中学校の国語の教科書にも掲載されましたね。
また、ごらんのように難しい言葉は全く使っていないのですが、表現にギャップがあったり、物事の二面性をよく捉えているなど、読んで新しい価値観に「はっ!」と気づくような短歌が多いのではないでしょうか。
連作で作られることも多い短歌ですが、一首でしっかりと物語が完結しているのも俵万智さんの短歌の特徴だと思います。私が言うのもなんですが、31文字の中で物語を完結させるってかなり難しいんですよね…。言葉の吟味と事象を切り取る的確さも感じ取れるのではないでしょうか。
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俵万智著作のおすすめ本
1987年出版 第一歌集『サラダ記念日』河出書房新社
なんと24歳で発表された代表作です。口語調で31文字に収めるのは文語調で31文字に収めるより本当は難しいことだと思います。それを見事にやってのけ、短歌という文学を一般に大きく広めた偉大な短歌集です。難しい言葉は全然使っていませんので、短歌作りの参考に是非どうぞ!
1991年出版 第二歌集『かぜのてのひら』河出書房新社
24歳から28歳までの短歌が収められています。恋愛に関する内容が多かったように感じる『サラダ記念日』と比べると、日常を題材にした短歌も多くなっているように感じます。また、『サラダ記念日』の作品と比べ、言葉遣いにより力が付き、凛として背筋が伸びるような感覚を覚える短歌が多くなっているのではないでしょうか。
1997年出版 第三歌集『チョコレート革命』河出書房新社
これまでの短歌集と違い、31文字に収めるという俵万智さんのこだわりみたいのが少し無くなっています。字余りの短歌も出てくるようになりました。でも、その分言葉のリズムがよく吟味されているように思います。大人の恋愛を扱った短歌が多いのも特徴です。ちょっと大人になりたいあなたにおすすめ!
2005年出版 第四歌集『プーさんの鼻』文藝春秋
母となった俵万智さんの短歌の転換期とも言われている短歌集です。愛と優しさとユーモアにあふれた歌集だと思います。いままので恋愛の短歌とはちょっと感じが違いますが、俵万智さんの愛の色々な形を堪能できる短歌集ですよ。
2013年出版 第五歌集『オレがマリオ』文藝春秋
東日本大震災をはさんで作られた短歌が収められています。震災以前の短歌、震災直後の短歌、震災を越えていく短歌。俵万智さんは今までは社会的な短歌はあまり詠んでこられてきませんでしたが、東日本震災をどのようにとらえたのか、大変興味深い短歌集となっているのではないでしょうか。
『短歌の作り方、教えてください』一青窈共著 角川ソフィア文庫 2014
短歌の作り方を知りたい時におすすめなのがこちらの本です。一青窈さんが俵万智さんに短歌の作り方を質問しながら短歌を作っていくという内容で進んでいきます。エッセイを読んでいるように短歌の作り方が頭に入ってくるので、とっても読みやすいですよ。短歌作りの入門書として大変おすすめです。
さて、今回は歌人、俵万智さんの略歴や短歌の代表作、おすすめの著作本などをご紹介してきましたが、いかがでしたか?
何気ない日常の一部をさっと切り取り、みんなが気が付かなかった別の面を見せてくれる。そんなするどい感性をおもちなのが俵万智さんだと思います。ぜひご紹介した以外の俵万智さんの短歌にもたくさん触れていただければファンの一人として大変嬉しく思います。そして、短歌の世界に足を踏み入れていただけたらもっと嬉しいです!お待ちしていますよ!
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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