消費税(仮払消費税と仮受消費税)の仕訳【簿記3級】勘定科目と取引例の解説

消費税の仕訳(仮払消費税と仮受消費税)

 こんにちは。会計的お仕事女子のあんがお送りする経理と簿記の仕訳解説シリーズ記事です。今回は経理の実務でよく出てきたり、簿記3級でよく出題される消費税の仕訳について解説していきます。

  • 消費税とは?
  • 消費税の取引はどんな勘定科目で仕訳をすればいいの?
  • 仮受消費税と仮払消費税の資産と負債の違いがなぜなのか分からない…。
  • 消費税の仕訳の例や練習問題、解説ってないのかな?

 などの疑問やご要望をおもちの方に向けて記事をまとめていきます。消費税の仕訳をマスターして、簿記3級合格の階段を確実に登って行ってくださいね!

 また、経理事務の方で仮受金の仕訳の例を確認したいという方も是非ご活用ください。

 それでは、よろしくお願いいたします。

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消費税とは?仮払消費税や仮受消費税とはどんな勘定科目?

  • 消費税とは、商品などを購入したときに課税される税金のこと。
  • 消費税は消費者(購入側)が負担するが、納付は商品などの販売を行った事業者が行う。
  • 消費税は納税者本人が納付しないので「間接税」と呼ばれる。
  • 商品などを販売したとき、企業は消費者(購入者)が払う消費税を仮に受け取っている=仮受消費税
  • 仮に受け取っている消費税(仮受消費税)は後日納税する義務があるので、仮受消費税は負債の勘定科目
  • 商品などを仕入れた(購入した)とき、仕入側が支払うべき消費税を納税する販売者に仮に払っている=仮払消費税
  • 仮に払った消費税(仮払消費税)は後日仮受消費税(負債)と相殺して返してもらえるので仮払消費税は資産の勘定科目

 仮受消費税と仮払い消費税で一番ややこしいのは、どちらが負債でどちらが資産なのかということでしょう。

 これは消費税を支払う義務が購入者側にあり、納税義務は販売者側にあるということを頭に入れておくと分かりやすくなると思います。

 商品を販売したときは相手側が消費税を払う義務があります。しかし納税義務は販売した側にあります。ですから、購入者が支払う消費税を販売した側が仮に受け取っている状態になります。

 仮に受取っている消費税=仮受消費税は後日税務署などに納税しなければなりませんので、仮受消費税は負債の勘定科目です。

 商品を仕入れたとき(購入したとき)は消費税を払う義務があります。しかし、その消費税を納税する義務があるのは販売した側です。ですから、仕入相手に消費税を仮で払っているという状態になります。

 仮で払っている消費税=仮払消費税は後日仮受消費税と相殺することができるので、仮払消費税は後で戻ってくると考えられます。ですから、仮払消費税は資産の勘定科目となります。

消費税(仮払消費税や仮受消費税)の仕訳~取引例による練習問題と解説

 消費税の記帳方法には、税抜方式と税込方式の2つがありますが、日商簿記3級では税抜方式のみが試験範囲となっていますので、税抜方式だけを解説していきます。

 また消費税の仕訳のポイントは次の2つです。

  • 商品仕入時→仕入(費用)と仮払消費税(資産)で仕訳
  • 商品売上時→売上(収益)と仮受消費税(負債)で仕訳

 先ほどの仮払消費税が資産の勘定科目で、仮受消費税が負債の勘定科目という説明がちょっと難しかった方は、この2つのポイントを覚えてしまいましょう。消費税は購入者が支払う税金です。ですから仕入側が仮払消費税となると考えると覚えやすいですよ。

商品を仕入れたとき取引例と仮払消費税の仕訳

 商品を仕入れたときには、税抜価格で仕入勘定の借方に記帳します。税金の額は仕入額には入らないということです。一時的に支払った消費税は、仮払消費税(資産)の借方に記帳します。

  それでは、実際の取引の例で仕訳を見ていきましょう。

取引の例:富山商店は商品¥20,000(税抜価格)を仕入れ、代金¥22,000(税込価格)は現金で支払った。

仕訳の手順①:まずは仕入(費用)の発生として、仕入(費用)を税抜価格で借方に仕訳します。仕入には消費税の額は入れないのがポイントです。

(仕   入) 20,000(     )

仕訳の手順②:代金を現金(資産)で支払っていますので、資産の減少として現金(資産)を税込価格で貸方に仕訳します。現金は支払った額全額が動いていますから、動いた額全額を仕訳すると考えると金額を間違えにくくていいでしょう。

(仕   入) 20,000(現   金) 22,000

仕訳の手順③:最後に消費税分の仕訳です。仕入側なので購入者側ですから消費税を支払う側です。ですから、消費税相当額(¥22,000-¥20,000=¥2,000)を仮払消費税(資産)の増加として借方に仕訳します。また、消費税は10%ですから、税抜価格¥20,000の10%と考えて仮払消費税の額を求めてもOKです。

(仕   入) 20,000(現   金) 22,000

(仮払消費税)   2,000

 仕訳は自分の分かりやすいほうから切るのがポイントです。仕入(費用)の発生で借方に仕訳するよりも、先に現金(資産)の減少で貸方に仕訳をする方が分かりやすい場合は、現金(資産)の減少から仕訳を切りましょう。この場合でも仮払消費税(資産)は最後に仕訳をした方が間違いにくくていいですよ。

 資産や負債、費用、収益の増減で借方になるか、貸方になるのかを再確認したい方はこちらの記事をご覧ください。仕訳の基本ですから大変重要です。

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商品を売上げたときの取引例と仮受消費税の仕訳

 商品を売上げたときには、税抜価格で売上勘定(収益)の貸方に記帳します。税金の額は売上の額には入らないからです。一時的に受取った消費税は、仮受消費税勘定(負債)の貸方に記帳します。

取引の例:北九州商店に商品¥40,000(税抜価格)を売上げ、代金¥44,000(税込価格)は現金で受取った。

仕訳の手順①:商品を売上げているので、売上(収益)の発生として商品の税抜価格で売上(収益)を貸方に仕訳します。仕入の時と同じように、売上には消費税の額は入れません。

(     )       (売   上) 40,000

仕訳の手順②:代金を現金で受取っていますから、現金(資産)の増加として、税込価格で借方に仕訳します。現金は受け取った額全額が動いていますから、動いた額全額を仕訳すると考えると金額を間違えにくいです。

(現   金) 44,000(売   上) 40,000

仕訳の手順③:最後に消費税の仕訳をします。今回は販売した側ですから、購入者が支払う消費税を仮に受け取っているので仮受消費税(負債)の増加として貸方に仕訳します。仮受消費税の額は¥44,000-¥40,000=¥4000として求めるか、税抜価格¥40,000の10%と考えて計算しましょう。

(現   金) 44,000(売   上) 40,000

            (仮受消費税)   4,000

 売上の仕訳の場合でも、現金(資産)の増加か売上(収益)の発生か、自分が仕訳をしやすい方から仕訳を切りましょう。また、仕訳は左右の金額が釣り合うということを思い出すと、仮受消費税の額を間違えなくていいですよ。今回の場合も、仮受消費税(負債)の仕訳は一番最後にすることをおすすめします。 

 さらに、借方や貸方のどちらが右でどちらが左か迷った方には覚え方の解説記事がありますので、どうぞご覧ください。

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消費税(仮払消費税と仮受消費税)の仕訳と勘定科目のまとめ

  • 消費税とは、商品などを購入したときに課税される税金のこと。
  • 消費税は消費者(購入側)が負担するが、納付は商品などの販売を行った事業者が行う。
  • 商品仕入時の仮払消費税は後日、仮受消費税(負債)と相殺して返してもらえるので資産の勘定科目
  • 商品売上時の仮受消費税は後日納税する義務があるので、負債の勘定科目
  • 商品仕入時→仕入(費用)と仮払消費税(資産)で仕訳
  • 商品売上時→売上(収益)と仮受消費税(負債)で仕訳

 さて、今回は簿記3級によく出題される消費税の仕訳で用いる仮払消費税と仮受消費税について、どんな勘定科目なのか、仕訳の例と処理方法などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 ところで、簿記資格を生かして会計や経理関係の正社員に就職するには簿記2級以上の取得が必須です。簿記2級の難易度を考えると、独学ではなく簿記3級から通信講座でしっかりと基礎固めをしましょう。また確実に簿記3級を取得したい方も通信講座を利用したほうがいいでしょう。

 私も通信講座で簿記3級と2級を取得しました。メールで質問ができたりスマホやパソコン、DVDなどで講義の動画を繰り返し何度も見れますので、通学講座より通信講座の方がおすすめです。

 簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。

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 簿記3級検定試験の勉強をコツコツ頑張ってくださいね。無事に3級の試験を突破して経理・会計職としての第一歩を踏み出してください!

 それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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