こんにちは。会計的お仕事女子のあんがお送りする簿記3級の検定用語解説シリーズ記事です。今回は簿記3級でよく出題される株式会社の資本と資本金について解説していきます。
- 株式会社の資本とは?資本金とは違うの?
- 株式会社の資本や資本金と個人商店の資本や資本金の違いは?
- 貸借対照表の純資産部分の資本金や利益準備金、繰越利益剰余金とは?
などの疑問をおもちの方に向けて記事をまとめていきます。株式会社の資本と資本金について理解して、簿記3級合格へ着実に前進してください!
それでは、よろしくお願いいたします。
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資本とは?資本金とは?
個人商店の資本については、2019年より前の簿記3級の試験範囲でした。2019年以降からは簿記3級も株式会社の資本を出題範囲としています。
ただし、個人商店と株式会社の資本の違いが分かると、より理解が深まりますので、まずは個人商店と株式会社の資本を比べて見てみましょう。
個人商店の資本と資本金
- 個人商店では事業を始めるときに事業主が個人の財産を提供する
- 事業主が個人の財産を事業のために提供することを資本の元入れという
- 資本の元入れにより、資本金勘定(純資産)が増加する
- 個人商店では資本を事業以外の用途で使用することが出来る(資本の引出し)
個人商店やフリーランスなどの個人事業主は個人で出費し、個人で事業を運営します。そのため、事業を始めるためのもととなる資金、いわゆる資本も個人で負担することになります。
資本となるものは金銭だけでなく、車両運搬具などの有形固定資産なども含まれることがあります。
また、個人商店では事業用の現金などを家計のために使用するなど、資本の引出しを割り合い簡単にすることができます。
株式会社の資本と資本金
- 株式会社は多くの人がお金を出資して資本を集め、事業活動を始める。
- 資本を出資した人は株式会社のオーナー(所有者)となり株主と呼ぶ。
- 企業は資本を集める手段として株式を発行し、出資する人は株を購入して株主となる。
- 企業は会社設立時に株を購入してもらい、その払込金が資本金となる。
- 株式会社の資本とは全資産の額から全負債の額を差引いた金額。
- 資本は純資産ともいう。
- 株式会社の資本は資本金、利益準備金、繰越利益剰余金などの種類がある。
- 株式会社の資本は事業用以外に使用することはできない。
株式会社の出資者は個人商店と違い世間一般から広く集めます。その会社の設立に賛同した人は、企業が事業設立時に発行する株式を購入して出資します。
株式の売買というと、売買してその差額から利益を得るというイメージが強いですが、本来はその会社の事業を応援するための資金を提供する手段として株式を購入するのです。
会社設立時に発行した株式は資本金となります。資本金は株主が株を購入して出資した元本部分として、他の資本とは区別して扱われます。
また、個人商店の場合は資本を家計などの個人的な用途で引き出すことができましたが、株式会社の資本は事業用以外に使用することはできません。社長だからといって資本を好き勝手には使えないということです。
貸借対照表の純資産について
貸借対照表の純資産の部に表示される分類は、会社法という法律の分類に基づいています。簿記3級で出題される貸借対照表の純資産部分は「資本金」「利益準備金」「繰越利益剰余金」の3つです。
それでは、「資本金」「利益準備金」「繰越利益剰余金」について、それぞれ詳しく解説していきます。
資本金とは
- 資本金とは株主が株式購入を通して出資した資本の元本部分
- 資本金の額は、法律(会社法)の規定に基づいて算出される。
- 資本金の額は会社財産や財政状況によって増えたり減ったりせず一定になる。
- 法律(会社法)により株式会社は資本金1000万円以上、有限会社は資本金300万円以上が必要とされている。
資本金とは会社を設立する際の一番最初の資金と考えると分かりやすいかと思います。会社を設立するための資金は、株式会社の場合は株式を発行し、それを株主が買い取る形で出資されます。
資本金は株式会社の財政基盤となる部分ですから簡単に引き出して使ったりすることはできません。会社の経営状態に関わらず資本金は一定になります。
利益準備金とは
- 会社の財政基盤を維持するための財源となる。
- 法律(会社法)によって積み立てることが義務付けられているお金のこと。
- 会社が利益の一部を配当金として株主に還元するときに、財務基盤を強化するため、配当金額の10%を積み立てなければならない。
会社が利益の一部を配当金として株主に還元することがありますが、後先考えずに利益をどんどん配当金として放出していると会社の財政基盤が弱くなってしまします。会社の財政基盤が弱くなると、ちょっとでも景気が悪くなって収支が悪化したときに簡単に倒産してしまいます。
このように、会社が簡単に倒産してしまわないように、配当金を出す時にその額の10%をいざというときのために積み立てておくのが利益準備金です。
「配当金を出すのもいいけど、いざというときのために積み立てておいてね」と会社法で決められていると考えると分かりやすいかと思います。
繰越利益剰余金とは
- 繰越利益剰余金は企業が1年間の活動を終えた時点で、株主への配当もしていないし、何かに使用する予定や目的で積み立てもされていない利益
- 繰越利益剰余金は利益を株主に配分する財源や会社の財政基盤をより強化するための財源となる。
- 企業の収益が黒字だった場合は繰越利益剰余金に黒字分が加算され、繰越利益剰余金が増加する。
- 企業の収益が赤字だった場合は繰越利益剰余金から赤字分が差し引かれ、繰越利益剰余金が減少する。
繰越利益剰余金とは会社が1年間の企業活動で得た利益で、使い道が決まっていないものと考えてもらえばよいでしょう。
使い道は決まってはいませんが、赤字になってしまった場合は繰越利益剰余金から赤字分が差し引かれるので、繰越利益剰余金が多い企業は急に景気が悪くなって売り上げが落ちたとしてもある程度は持ちこたえらえる体力があると考えることもできます。
また、株主に配当する配当金も主に繰越利益剰余金から出されることになります。「使い道は決まっていないけれど、とりあえず貯めているお金」と考えると分かりやすいでしょう。
株式会社の資本のまとめ
- 企業は会社設立時に株を購入してもらい、その払込金が資本金となる。
- 株式会社の資本とは全資産の額から全負債の額を差引いた金額。
- 資本は純資産ともいう。
- 株式会社の資本は資本金、利益準備金、繰越利益剰余金などの種類がある。
- 資本金とは株主が株式購入を通して出資した資本の元本部分
- 利益準備金とは会社が利益の一部を配当金として株主に還元するときに、配当金額の10%を積み立てたもの。
- 繰越利益剰余金とは企業が使い道を決めずに貯めたままにしている利益のこと。
さて、今回は簿記3級によく出題される株式会社の資本のうち、特に資本金や利益準備金、繰越利益剰余金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
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簿記通信講座の徹底比較記事もありますので、どうぞご覧ください。
簿記3級検定試験の勉強毎日頑張ってくださいね。見事3級の試験を突破して経理・会計職デビューされることを祈っております。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。